The International Marine Animal Trainers Association(略称IMATA)は海洋動物に関する分野で活躍する専門家と、海洋動物に関心のある人々によって構成される組織です。IMATAは海洋動物のトレーニングとハズバンダリー技術の発展、動物園・水族館関係者間でのコミュニケーションの促進、教育活動を通しての海洋動物に関する一般の意識の向上に貢献することを目的としています。
どのような分野であれ、それに関わることを決心し、自分の仕事とする為にはそれなりの熟考・調査・準備が必要になります。以下は、海洋動物に関われる主要な分野についての要約です。この要約が海洋動物に関わる仕事をしたいと考える皆さんにとって、将来の進路を決める上での参考になってくれれば幸いです。
海洋科学関係の学科に進むことで、海洋動物のトレーナー、動物園の飼育係、海洋学者から環境学者に至るまで、様々な夢と挑戦に満ちた仕事に就く可能性が開けます。ひと口に海洋科学といっても、それはさらに細かい分野に分かれています。従って、それぞれの分野について良く知ることは、皆さんの選択肢の幅を広げ、可能性を増やすことになります。
海洋生物学者は藻類から鯨類まで、海洋に生息する全ての生物について� �究します。調査海域も沿岸、近海、外洋と全ての海域が対象となります。
海洋学は海洋と海洋で起きる様々な現象を調べるために、様々な科学を応用します。この為に海洋学は複雑にいくつもの分野に分かれています。海洋化学者は海水の化学的変化を調べることで、汚染源の解明や海洋汚染の除去・阻止に取り組みます。海洋地理学者は海岸線、大洋底、� �積層およびミネラル成分などについて� �究します。海洋物理学者は海洋の物理的な特性、海流、潮汐や波などについて� �究し、大気がこれらにどのような影響を与えるかを調べます。海洋生物学者は海洋の生物群集についての� �究をします。
動物学は動物たちの分類、系統進化から始まり、動物全般について� �究する分野です。多くの動物学者は特定の動物についての� �究に従事していくことになります。
生態学は、生物間における関係や生物とそれを取り巻く環境との関係、そして人間の生み出す汚染や開発といった活動が、生物たちにどの様な影響を与えるかについて� �究する分野です。
動物行動学は動物達が自然に行う行動と、その様な行動の進化について� �究する分野です。この分野での� �究は、動物達と動物達の生息する環境を保護・管理する上で重要なものとなります。
獣医学にはストランディングした動物や、孤児となった動物たちの看護・リハビリテーションが含まれます。獣医師は動物の診断、手術、投薬、薬の処方などを行います。
動物飼育は飼育されている動物達の健康を守る上で必要となる日常の世話を行います。動物飼育係は、哺乳類・鳥類・爬虫類・魚類といった様々な動物達の世話をします。動物飼育係は飼育舎の清掃、給餌、動物達の行動管理などを行います。
近年、環境問題は国・企業・民間の全てにおいて主要な関心事となっています。海洋科学の� �域においても、海洋保護に関係する様々な保護・監督の仕事が整備されるようになってきています。保護・監督官は動物の個体群についての調査、個体群の生活環境と個体群の保護、海洋生物に関連する様々な許認可の実施などを行います。こうした側面からの海洋生物保全の努力は種の生存を実現する上で必要不可� なものです。
海洋哺乳類のトレーニングとは条件づけによって、動物達のハズバンダリー・ケア、運動機能の維持、心理的刺激を実現することです。動物達の世話をするということは動物達の心と身体の健康に責任を持つということでもあります。こうしたことの中には直接動物たちの相手をすること� けでなく、動物達の暮らすプールとその水質の管理や動物達の餌の管理なども含まれます。又、トレーナーは水族館への来館者のための教育的なプログラ� の企画・実施を行います。海洋生物の命を守る為の最も有効な手段は、教育的な活動を通して、一般の人々に海洋生物に関する理解と尊敬の念を深めてもらうこと� からです。
率直に言えば、学位は必ずしも必要ではありません。では学位を持っていた方が有利かと言えば、間違いなく学位を持っていた方が良いでしょう。学位を取得するということは、貴方自身の知識を深めると同時に、自分の仕事をより良く理解する助けにもなります。多くの施設が学位の無い人や、学位取得中の人は雇用しないという方針を取っています。そのような施設に入る為には、学位に相当するような実地経験が必要となります。現実的に言えば学位を持っていることはとても重要� と言って良いでしょう。
海洋哺乳類に関連する分野は常に進化・成長を続けています。ですから海洋哺乳類に携わりたいと思うなら、その方法や機会は様々です。� からこそ貴方にとってどのような道へ進むのが最も適しているのか、或いはどのような選択肢があるのかを良く調べる必要があります。そのためにも海洋哺乳類や海洋環境についての知識を深めたり、コミニュケーション・スキルを身につけたりすることが出来るような教育を受けることをお勧めします。もし、直接動物たちと関わる仕事を希望するのであれば、常識を持って、明確かつ迅速に判断する能力は不可� です。十分な体力・運動能力を身につけることはいうもでもありません。出来る限り海やプールなどで水に馴染むこと、強い泳力を養うことが必要です。また、スキューバ・ダイビングのライセンスを取得することも必要です。貴方が働くことを希望するような施設の殆どが雇用に際して、水泳のテストに合� �する必要があり、潜水士の資� �を持っていることが必要とされます。
海洋動物に関連する分野の実際の仕事を経験してみる事、それ自体は難しいことではありません。海洋哺乳類に関連する施設を訪れ、その施設が何をしているのか、どの様なやり方で動物を飼育しているのかなどについて知ることは、将来仕事を探したり、仕事をしたりする上で重要な経験となるでしょう。さらに上のレベルで言うならば、自分に関係すると思われる専門的な組織・団体に所属しておくことも考えた方が良いでしょう。自分の興味ある仕事に就く機会を得る、最も良い方法のひとつはしっかりとした歴史のある専門組織のメンバーになることです。例えばIMATAは、その他の専門組織と同様にSoundingsという専門誌を年4回発行しています。Soundingsには海洋哺乳類の飼育に関連する最新の情� �� けでなく、求人情� �も掲載されています。
貴方が興味を持つ海洋動物に関係した仕事に就く前に、その様な仕事について経験したり学ん� りすることは出来ます。ボランティアや実習生・� �修生制度は貴方が本当に進みたい道を決める助けになるように、なるべく実際の仕事に近い形で様々な経験が出来ように用意されています。但し、ボランティアやインターンシップには、参� するために費用の必要なもの、費用の必要が無いものがあるので事前に良く調べる必要があります(海外のフィールドリサーチの� �修生の� �合、現地での生活費のサポートなどがあるものもあります)。いずれにしてもボランティアや実習生・� �修生として貴方の興味のある仕事を経験することは、貴方の目標に向かっての良い第一歩であることに間違いはありません。